在庫管理と一口に言っても、企業や業界によって様々な在庫管理手法や仕組みがあります。
今日は在庫管理にかかるコストや考え方についてお話したいと思います。

早速ですが在庫管理に100点はありません。

なんじゃそれー!となりますよね。でも本当なんです。常にその企業にとっての最適な在庫量は変動します。市場需要による在庫の変動も大きく影響します。
在庫の必要数、最適数は日々変動するので、仮説と検証を繰り返し行い続ける必要があります。

加えて、企業の在庫に対する考え方も千差万別です。さらに、企業内の部署によっても在庫に対する考え方は大きく違います。

例えば、販売や製造に携わる人にとって、在庫が潤沢にあることは大きな安心材料です。お客様からのご要望にはスピーディーに対応でき、生産活動も安心して行えます。
一方、購買担当の人にとって過剰な在庫はご法度です。在庫と金額のバランスは職責上、常に求められます。過剰在庫がひどくなると、財務部門からの厳しいチェックも入ります。

同じ企業内であれ、担当するポジションによって相反してしまう(トレードオフ)ところがあります。

在庫管理の理想として、この相反する二つの流れの中を絶妙なバランスで最適化することが求められます。企業経営の視点から言うと、部分最適から全体最適にしていくとも言えるでしょう。

それでは在庫にかかるコストを見ていきましょう。

まず、在庫管理に発生する、間接費と悪影響を洗い出します。
在庫の維持保管のために必要な費用となりますので、極端に言うと在庫を減らすだけで節約できるということになります。
逆に、在庫の増加や滞留は様々な悪影響を及ぼします。見ていきましょう。

  1. 金利
    商品や材料を購入するため銀行から借入していれば、金利(借入利息)を支払わなければなりません。必要分は仕方ありませんが、不要な在庫があるとその金額分の金利までムダになります。

  2. 在庫維持管理費用
    倉庫や在庫スペースの賃借料も在庫の量に比例して増加します。保険料、光熱費、通信費なども同様です。

  3. 人件費
    在庫を取りに行く、在庫を探す、在庫を入れ替えるなどの人件費がかかります。在庫が多ければ多いほど、それにかかるコストも増加します。

  4. 会社の資金繰りへの悪影響
    材料、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費を増大させ利益を圧迫します。会社の運転資金に影響します。

  5. 在庫劣化
    在庫の経年劣化、在庫価値の劣化によって評価損や廃棄損を生じさせます。

これだけでも多くの余分なコストや悪影響が発生することがご理解頂けたと思います。
当然、どんな企業であれこのコストを下げていきたいと思うのが当然ですよね。


ここで視点を変えて、在庫が増える要因を探ってみましょう。
理由は様々ですが、例えばこんな原因がありそうです。

生産に支障をきたさないようにするため、大量購入によるボリュームディスカウントを受けるため、製造リードタイム短縮に必要な中間在庫を持つため、急な受注数の変動に備えるため、在庫を積み増すため。
いずれも大切なことなのですが、ここでバランスが崩れると、一瞬にして過剰在庫になってしまいます。

「偏在」という事象にも気をつけなければいけません。複数ある、保管場所ごとに在庫量の過剰や不足が発生し、適正な規模の在庫保有が難しくなる状態です。偏在が大きくなると、在庫が増え、廃棄も増えると言われています。

最後に少し専門的な会計の視点からも在庫を見てみましょう。

在庫は企業の資産です。貸借対照表(B/S)の資産の部の棚卸資産に該当します。そこには商品、製品、原材料、仕掛品、半製品、貯蔵品も含まれます。

ところで、ROAという言葉はご存知でしょうか。
Return On Assetの略称で総資産利益率。利益を総資産(総資本)で除した、総合的な収益性の財務指標です。企業が所有している総資産を使って、どれだけ効率的に利益を上げているかを表します。
在庫が高回転すると、総資産利益率(ROA)が向上します。

(1) ROAの分母は、貸借対照表の総資産合計値です。
資産は金額の多い少ないも大切ですが、回転の速さも求められます。
とくに棚卸資産(在庫)は、回転が速いほど、投下資金を早期回収できます。すると少ない資金で在庫運用が可能になります。
一定時点における在庫は少ないが、多く回転していれば売上が多くなっているはずです。

(2)ROAの分子は損益計算書(P/L)の利益です。
損益計算書の売上を増やし、売上原価や販売費及び一般管理費を下げることが大事です。そうすれば利益が出るようになります。


上記のことから、
資産である在庫を高回転させるか、利益を上げることによってROAが高まり、財務体質向上につながると言えます。品質の良い商品を揃え、品質の良い製品を作り出しても、在庫管理がうまくいかなければ事業の運営はうまくハンドル出来ません。

とりわけ長期不動在庫は、その製造や仕入に投下された資金が回収されずに長期間放置されています。
企業活動は新たな価値創造のために、新しい投資を行わなければいけません。長期不動在庫分の資金に加えて、追加で資金を投入していくことになれば、企業の財務体質は一向に向上しないでしょう。

最後に、在庫管理を最適化するベーシックな考え方としては当たり前のことですが次の2つがあげられます。
① 在庫の回転数を下げる様々な要因を理解し、それを起こさないよう自社の在庫を管理する
② 多すぎず、少なすぎない在庫を維持し、高回転させる

生産活動、企業活動に伴う様々な変動に対処するため在庫は不可欠です。しかし在庫は多すぎても、少なすぎても経営に悪影響を及ぼす大きな問題になります。

在庫管理の最終的な目的と、目標をしっかり見定め、自社の100点に見合う在庫管理の仕組みを作りましょう。


在庫を正常に保つというのはシンプル且つ答えのない問題ですが、在庫管理のコストを正確に捉えるためには在庫数量と金額を継続的に把握することが求められます。

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